写真修整と画像加工
ビギナー向け 簡単テクニック!
Contents
はじめに ~準備しましょう~
1 必要な余白と明暗調整。
2 台形に撮れた建物を直す「アオリ補正」
3 演習:いろいろ”アオッて”みよう。
4 消したり足したり「2つの修整スタンプ」使い方。
5 「パワーポイント」で簡単にできる写真加工。
と、その前によくある「ビフォーアフター」から出題です。回答はこのページの後半で。
【問題】ネットに載っていた工事写真ですが、どっちがビフォーで、どっちがアフターでしょう??
は じ め に
今、大成塗装店の鹿島専務さんがPCの前に座っています。
アパート「コーム・タケナカ」の修繕・塗装のまとまった工事を無事に完成させ、写真を撮ってきたばかりです。
フォルムとマッチしたカラー。オーナーからも良い評価をいただきました。
さて、ホームページに「ビフォーアフター」を載せようとデジカメ画像をセレクト中のその時です。
『どっちがどっち?』横から覗いていた事務の大木、大森?いや、大林ぐみさん。それが上の写真です。
・・・そんな似たようなこと、皆さんもありませんか?
向かいの「ベーカリー清水けん&せつ」さんの場合は「また焼きたてを撮り直すかぁ~」って、納得できるまでトライしているようですが・・・・。
建築系の場合はパン屋さんと違って、陽当たりのいい場所まで動かすわけにはいきません。なので、お天気の心配はもちろん、車は止ってるし、洗濯物もあるし、シャッター・チャンスに恵まれないのです。特に完成写真は。
『じゃあ、あんたが撮ってくればァ~』と開き直ってはいけません。職人気質は気が短い、それが許された時代はとっくに終わっています。
もしもですが、最新スマホの大林さんが、脚立を持って撮影に出かけたら、そして、スマホにインストール済みの”レタッチ・ソフト”を使い倒す人だったら!
もちろん、これはフィクションですが、上の【問題】の写真はマジです。
本題に入る前にですが、建築系の「修整」は「修正」であって、正当なお手入れですからご安心の上、取り掛かってください。
むしろ、手を加えないままの掲載は、上の2点のように誤解を与えかねません。一例として、代表的な「歪み」の修整について少し触れておきましょう。
人は頭の中で自動的に補正していますので意識することはありませんが、カメラで撮ったもには近くは大きく、遠くは小さくなります。
レンズ目線では「近く=大きく」、それより上方向では高さが増すほど「遠く=小さく」写ります。
その結果、建物は「台形」になってしまいます。
脚立に登ったりハイエースの屋根に乗るなど、建物の上下中央あたりで撮れば別ですが。
人が頭で”自動補正”するのは他に、明暗調整やピントもで、明るい所から暗いトンネルに入ると一瞬真っ暗になりますが、徐々に目が慣れ見えるようになります。逆の場合も、一瞬は眩しいですが、やはり慣れます。
カメラの場合は、明暗調整はシャッタースピードや感度レベルで、ピントはオート・フォーカスが自動的に処理しています。
ただ、台形の歪みは人の手で修整する以外どうにもなりません。明るさ具合がうまく写らず、後で直さなければならない場合もあります。
なので、建築系に修整は避けて通れない!そういうレスキュー必須でスキルアップに励んでほしいですね。
ちょっと長くなりましたが、そんなわけで、「明暗調整」や「歪み補正」から~はじまりはじまり~です。
◆最初の”どっちがどっち?”「ビフォーアフター」の回答とその修整については、この後半で行います。
写真の修整はフリーソフトのGIMPを使います。ネットで「GIMP 操作 〇✕▽◇〇 とは」のように入力すると、操作方法がたくさん出てきます。マニュアルもかなりアップされていますので併せてご利用ください。
~準備しましょう~
◆Windows-10 ~ 11 +office
ご使用のPCのバージョンは「WIN-10」または「11」ですか?また、一般に「MSオフィス」といいますが、それもあるか確認してください。
下は左から文書作成「Word」(ワード)、表計算・グラフ作成「Excel」(エクセル)、プレゼン「PowerPoint」(パワポ)です。
右端の「フォト」は始めからインスト済み写真編集アプリです。
無料ソフトのダウンロード
*下の画像クリックで関連ホームページが開きます。
◆GIMP 歪み補正はもちろん、トリミング、明暗などの画質調整や電線の消込み、切り抜き、合成といった修整・加工まで、安心して利用できるプロ志向のレタッチ・ソフトです。
この世界では有償ソフト「PhotShop」がプロ・アマ問わずキングですが、「GIMP」は”無料派”のキングでしょう。
とにかく、これから始める画像修整には欠かせない優れものですので、ダウンロード~インストールしてください。
↑ ここまでは基本的な環境設定です。
◆でも、やっぱりプロ並みに「photshop」を最初からやりたい!という方は下記の『無料体験7日間』からどうぞ。
(ここでの解説はGIMPですが、能力的な差はありません)
◆同じAdobe社のイラストレーターもドロー系有償です。
ビジュアルでは、主に写真で使われるビットマップ系と、色や線の境界線で管理するドロー系(ベクタ形式とも言います)との2方式がありますが、ドローの無償系では上の「INKSCAPE」(インクスケープ)が代表的です。
◆プレゼンソフトPowerPoint(パワーポイント)もドロー系主体で、かなり高い能力を持っています。ただ用途がスライド制作など広範囲なため、操作方法が難しいかも知れません。
*↖斜め上の「パン屋さんのチラシ」はパワポで制作。
◆もっともっと高みを目指し、しかも無償がなお嬉しいという向きに図面制作の最強ソフト"JW-CAD”。
建築図面~一般製図、2.5D図化など有償AUT-CADに次ぐ国内普及率を誇ります!YouTubeも入門書(市販)もたくさん出ています。
GIMP - 無料・ダウンロード (softonic.jp)
Inkscape 1.1をダウンロード | Inkscape
1 アオリ補正・・・その前に 必要な余白と明暗調整
1-1 建物の撮影⇒空間余白をたっぷり確保して撮るようにします。
ただ、建物は小さく写ることになりますので、大きなサイズ(画素数・ピクセル)に設定してから撮影してください。
1-2 補正すると空間余白が減ってしまう!?
アオリ補正は上部を左右に拡げるため、空間余白が少ない写真になってしまいます。
←左は、一番上中央のX写真を実際にアオリ補正した結果で、建物の周囲空間がほとんど無くなっています。
上図は撮影時にたっぷりある空間余白が、補正後のトリミングで減ってしまう様子です。
1-3 次に、明暗・コントラストなどの画質を整えます⇒WIN-10の「フォト」でできます。
WIN-10同梱の「フォト」の他、「GIMP」でも詳細に作業できます。使い慣れた段階でチャレンジしてみてください。
2 台形に写った建物を直す アオリ補正
2-1 最初に「GIMP」に画像を取り込みます。
左図のような手順でフォルダ内の表示画像にマウスを置き、右ボタン操作で「プログラムから開く」ことができます。
マルチ画面ではGIMPに画像をドラッグするだけでOKです。
下図は取り込み後に最初に現れる画面ですが、もし、白っぽい画面であっても問題ありません。下と同じような画面色で作業を行いたいときは、上段のバーから「編集」⇒「設定」の順に進み、再設定を行います。(後に再び説明いたします)
2-2 覚えておきたい、頻繁に使うショートカット
◆「元に戻す」⇒「Ctrl」押したまま「Z」キー。
※上段のバー「編集」からもできます。
◆「スタンプ」2種で、元になる部分を選択し「Ctrl」押すと固定化。
それを直線的に連続実行するときは⇒固定化したら「Shift」を押したまま終点個所でクリック。切り抜きで使う「「消しゴム」の場合は、「Shift」を押したまま終点個所でクリックします。
◆写真含め背景全体の拡大縮小は、「Ctrl」を押したままマウスのスクロール(丸い輪)を前後させます。
2-3 ◆画像に「グリッド」を表示します。
グリットの目的は方眼紙のように線を入れることで、補正をしやすくします。
下の左図のように上段のバーから「表示」⇒「グリッドの表示」で、右図のような縦横の線が入ります。この線は写真に張り付いたものではありません。
間隔を変えたいときは、個別には「表示」のすぐ横の「画像」⇒「■グリットの設定」⇒描画色/間隔 のところで調整します。共通に使えるように設定する場合は、「編集」⇒「設定」で事前に行います。詳しくは別の項目で説明します。
2-4 グリットが表示されたら、アオリ補正用のアイコンをクリックします。
下の丸で囲んだ「統合変形」アイコンをクリックします。次に写真画像上でマウス⇒左ボタンクリックすると写真の周りにいろいろのマークが現れますが、これがアオリ作業に取り掛かれる状態です。
マークは四隅の□、各辺中央の□、そして縦横4分の1の各辺に◆マークが付きます。マウスがそれぞれの上にあるとき、ポインターも変化し、その操作ができることを示します。
慣れるために、マウスをマークの上に置いて試行してみてください。
「元に戻す」(CtrlとZキーの同時押しor「編集」⇒「元に戻す」)のやり方が分かっていれば、何度でもトライしましょう。
なお、マウスが写真の中にあるとき、左ボタン・ドラックでは写真をつかみ、動かすと移動します。
マウスが写真の外側にあるときは傾きの調整ができます。
2-5 アオリ始めましょう。
右図の通りマークの役割を理解しながら、まずグリット線を参考にアオリをしてみます。
右上の数値表は動かすことはできませんので、写真を移動させたり、全体サイズも適当に変えながら(「Ctrl」を押したままマウスのスクロールを前後させる)作業を行ってください。
図では、アオった建物が縦線通りピッタリ垂直ではありません。垂直にこだわり過ぎると”頭でっかち”に見えますので、適当なところで留めます。
また、横に拡げるだけでは上下が扁平になりますので、4隅のマークを使ってバランスを整えます。
ほぼアオリが終わり、次のトリミングの準備のため、写真と市松模様の背景と較べながらマーク(各辺中央の□)を拡大縮小し、背景内に収めます。
まだ”逆台形”のままですが、エンターキーを押し、「統合変形」を終え、「編集」⇒「グリットの表示」でその表示も終了させます。
2-6 トリミングで長方形にカットします。
「統合変形」と「グリットの表示」を終了すると、市松模様の背景範囲内に写真が収まり、下図のようになっているはずです。
トリミングは市松模様の背景内側でのみ自由に行えますが、下図の中央のように「アオリで残った透明部分」の内側に収めることになります。
まず、①トリミングアイコンをクリックし、大体の範囲でドラッグします。試しに ②トリミング線を操作 を何度かやってみてください。
点線の枠は各辺を自由に動かせますが、下の左図のように ③タテ・ヨコサイズと比率 のところでも数値調整できます。
正方形なら数値は左右同じで、デジカメ画像は「3:2」が一般的な比率、紙サイズは「10:7」(5:3.5)がめやすです。
ここで行う ファイル保存 では後々の用途も考え、空間余白はたっぷり確保しておくことをお勧めします。
2-7 ファイルに保存し終了します。
上段の「ファイル」からリストパネルを開くと、中段付近に何通りかの保存方法が用意されていますので、それから説明します。
●保存⇒GIMP形式「xcf」で保存します。作業が途中または再び修整したいときに現在のまま残します。他の形式と両方保存したい場合も xcf 形式で保存をしておきます。
●名前を付けて保存⇒上と同じ xcf 形式ですが、元のファイル名を変えたいときに選びます。jpg や png 形式の保存と混同しやすいので注意してください。
●コピーを保存⇒特に使いません。
●復帰⇒特に使いません。
●エクスポート⇒取り込んだ元の jpg や png 形式で上書き保存しますので、元画像を残したい場合はうっかり”上書きしないよう注意します。
(ここのパネルでもファイル名・形式を変更できます)
●名前を付けてエクスポート⇒取り込んだ元の画像と形式も残しつつ、新たなファイル名で保存のときに利用しますが、パネルは上の「エクスポート」と同じです。
jpg や png 形式では最も利用するところですが、最後にGIMPの xfc 形式の保存問い合わせが出ますので、そこでも確認できます。
2-8 ファイル形式(拡張子)の違いと使い方。
【容量・サイズ】画像形式は一般的に容量が軽い「jpg形式」が使われますが、コピーごとに少しづつ劣化します。一方「png形式」は、それがないかわりにファイル容量が jpg より重くなります。また、ホームページは両方使えますが、画像単位で「サイズ」や総メガ・ギガ数に制限もあり、その辺を配慮しながら選択するようにしてください。
【透明と白地】 jpg 形式の画像を取り込んで、切り抜きや変形加工した後に保存するときは、 jpg から png形式に変える必要があります。透明部分をそのまま残すためですが、前の jpg では四角形内の透明部分は白地で残ってしまいます。
「アオリ補正」どうでしたか?・・・次は「演習」に進みます。今までの”虎の巻”を見ないで、”体でおぼえる”までトライしてみましょう。
3 演 習 いろいろ”アオッて”みよう!
3-1 演習01 木造アパートの写真の歪みを「アオリ補正」してください。
【想定】築30年ほどですから外観は精彩がない印象です。撮った写真は歪みが結構ありますのでこれを補正し、次の「完成予想図」つまりパース制作者に提供します。早速、上の例を参考に作業を行ってください。快晴で雲ひとつない条件で撮れましたので、明暗調整は特に必要ありません。
3-2 演習02 「完了報告」に添付予定でしたがヘタ画像 ! ・・・直してください。
【想定】4台設置に手間取り、夕焼け迫り・・・、そこでバタバタ撮ったスマホ画像でしょうね。
夕方の撮影は黄身がかってしまいますので、明暗以外にもいろいろな調整が必要です。
「フォト」を使い、明暗だけでなく、影、ハイライト、コントラスト、露出など各種のスライダーで調整をしてみてください。
次のGIMPでアオリを行うと、上右のような台形になってしまいます。元々空間余白がほとんどなかったため、トリミングにより手前の物置の一部がカットされます。残念ですが仕方ありません。
「演習01」のように、左の「演習02 スチール物置」をダウンロードしてトライしてください。
♡アドバイス=jpg以外にもいろんな形式(拡張子)が混在しますので、PCに「演習フォルダ」を作り、”5S”※に心がけながらファイル管理いたしましょう。
3-3 演習03 2階のバルコニーですが、下から目線ではなく正面にあるようにできませんか?
【想定】下から撮るのですから、下の写真のようになるのは普通です。しかし、それではビギナーの域に留まったままです。梯子に登って撮ったようにアオってみましょう。ここでの演習テーマは、限界を超えた先にあるプロの世界です。大袈裟ッ !(*▾*)!
想定は大袈裟ですが、引っ張った変形線は大袈裟ではありません。(下図)
「統合変形」アイコンを起動し、そのサイズのまま操作するとPCの画面から飛び出す程の変形です。
Ctrlキーを押しながらマウス中央のスクロールをクルクルし、サイズを加減しながら進めてください。
演習の最後は「感性」がテーマになりました。第三者に説明抜きでメッセージを伝えなければなりません。滴る水玉の強調と、人物の目線や表情をモノクローム側に寄せることで”らしさ”を引き出し、
その”模範回答”が下の写真です。感覚の世界、答えは1つではありません。ぜひトライを!!
♡アドバイス
PC操作環境とGIMPや「フォト」の設定
♥PC環境:マルチ・ディスプレイ
テレワークでもそうですが、場所を取らない、持ち運びができる、電源喪失でもやりかけがパーにならないなど、ノートPCは利便性が高いですね。最近はマルチ画面もスタンダードになり、下のような光景も珍しくありません。
(写真上)15インチPC+32インチディスプレイ
「32インチ」の中に「A3サイズ」が余裕で入るということは、住宅図面なら印刷サイズのまま操作できるということ。プレゼンも多くがA3版ですから実寸で作業できます。その下の27インチあたりまでがリアル環境でしょうか。
(下)”マルチ”環境はPC側の「設定」で行います。
♥GIMP:画面の設定(上)
”白か黒か?”下の画像のように、初めに画面のタイプやアイコンの大きさ、グリット表示の詳細を設定しておきましょう。その画像周囲の明暗加減や、操作パネル類の配置具合は使い勝手を左右します。
WIN-10の「フォト」でもできますが、GIMPも「編集」⇒「設定」できめ細かくできるようになっています。
(下)明るい方か暗い方か?修整用写真と背景を見較べてみてください。左はアイコン大きくモノクロ表示、右はアイコン小さめでカラー表示です。(黒の背景が好まれているようです)
4 消したり足したり、2つの スタンプ・ブラシ使い方
4-1 ここまで修整スキルが身に付くと、どうしても消したい・隠したい部分が出てきます。
建物写真はリアルが前提とはいえ、洗濯物や車両のナンバーのほか、アパートの場合は”不動産会社の看板”、駐車プレートに氏名が表示していて、そのまま使えないケースがかなりあります。ここでは最も多い「電線を消し、背景の空と馴染ませる」スキルを演習していただきます。
4-2 ”電線だらけ”の日本~。
画像編集ソフトで最も多い作業はこれではないか!photshopもGINPが普及しているワケもきっとこれだろう~と思いたくなるほど電線だらけの日本!・・・この消し込みからスタートします。
最近のソフトはAIがアッと言う間にやってくれそうですが、残念ですが何でもかんでも、というわけではありません。
下は「❸-1」で登場したビルの一部を拡大したもので、消し込み中のところです。電線が空と建物の両方に被っている赤丸部分に注目してください。その電線を消すということは、同時に2つの背景も復元することになります。車のナンバーを消すレベルとは随分違いますね。
ここで使用するGIMPですが、電線消しと背景の復元では「スタンプ描画」と「修復ブラシ」を”使い倒す”ことになります。
「ビットマップ系は画素の彩度や明暗で画像化」していることは、はじめのところで触れました。GIMPも実際に「線」ではなく、点々の画素(ピクセル)とその集合幅の大小で”線のように”見せています。
これは原理的な話ですが、ですので「スタンプ描画」も「修復ブラシ」も、その形や大きさを変え、例えば円形でコピーし、それを別の所に貼り付けるといったしくみです。「ブラシ」(刷毛)という表現もそこからきていますので、たとえば細い線は”細目のブラシ”となります。
4-3 演習05 電線と電柱が目障り!左側の電柱は隣家屋根で、上の電線も含めてカットし、その他もできる範囲で修整を。
【想定】上左は工事前の現況写真で、すでにアオリ補正とトリミング済みです。上右の補整例のように、2つのスタンプと修復ブラシを使って下図の■赤枠の部分を、できれば■黄枠の部分まで修整できればサイコーッです。といった”ご注文”です。
演習用も含め、予め車のナンバープレート、洗濯物、不動産管理会社の看板を修整しています。
想定では、左側は隣家と電柱が残っていますが、完成予想図ではここに樹木が合成されます。
◆スタンプ描画 下の3つの図の通り、①~⑩の順番で演習を行ってください。
はじめは「スタンプ描画」を使って消し込むところの背景を想像し、それと似たような部分を「元」としてコピーします。この場合は青空ですので近くの似たような青空を選びます。コピーしたものは別な背景に替えるまで続けて使え、②のように何度でもスタンプできます。また連続して直線的に貼り付けることもできます。
このスタンプ描画の段階ではまだ背景と”ドンピシャ”にはなっていませんが、この先は右下のパネルのように「修復ブラシ」を使って馴染ませます。
◆スタンプのサイズ調整 「スタンプ描画」も「修復ブラシ」も、③で囲んだスライドバーで大小の調整ができます。広い狭いなど対象の条件により変えてください。透明度も変えられますが、最初は100%のままで構いません。
◆「Ctrl」と「Shift」キーとマウスクリック
スタンプ、ブラシ共に常用するショートカットです。切り抜き用の「消しゴム」でもコピー元にしたり、連続で直線作業する頻度が高い操作です。ブラインドでできるように”指に覚え込ませ”ましょう。
◆「元に戻る」 Shiftの直ぐ右にある「Z」キーとCtrlキーの同時押しは「元に戻る」です。スタンプ・ブラシ作業では頻繁に、また数回前に戻ってやり直したくなりますので、これも画面上部の「編集」⇒「元に戻る」を行うより素早くできます。
4-4 演習05-チャレンジ編 さらに「プロ級」を目指すなら■枠の「洗濯物」も消してみよう。
回 答
お待たせいたしました。ページの始めの出題でしたが、
その回答と修整について説明いたします。
【問 題】ネットに載っていた工事写真ですが、どっちがビフォーで、どっちがアフターでしょ??
【回 答】右が工事前で、左が完工写真です。
よく見れば分かりますけど・・・。
工事前と同じアングル、洗濯物にボカシ処理したのはそれなりの工夫が見られますが、天気もどんより、日差しもないでは冴えないアフターになってしまいました。それに、建物は台形に歪んだままで、端正なフォルムも活きていないように感じます。完成写真は”ハレ姿”です。晴れた日に撮影しましょう。
復習を兼ねてやってみましょう。
◆「フォト」明暗調整 下の3点が今まで取り組んできた「修整」の流れです。左は明暗調整がすでに済んでいます。もう少しコントラストを強めにしてメリハリを出したかったのですが、元画像にそういった要素が少ないため、この程度で済ませます。
◆「GIMP」アオリ補正 (中央)「アオリ補正」では極端な逆台形にはなりませんが、建物の右側を少し引き上げるとバランスが良くなりそうです。
◆「GIMP」トリミング 前に「空間余白」について述べましたが、アオリを行うと赤線部分の背景が足りなくなります。でも、無いものは仕方がありませんからギリギリでトリミングします。*実際は「スタンプ描画」と「修復ブラシ」を使って不足部分を加えています。
4-5 演習06-チャレンジ編 さらにワンランクアップなら・・・。
「パワーポイント」キリヌキ・合成と写真フレーム加工 下の2点ですが、完工写真は天気の良い日に撮り直し、フレームも加工するなど、できればここまで手を掛ければ理想的というサンプルです。空、隣家の壁、車両の前部分、🅟白線の一部などをGIMPとパワーポイントで修整・加工しています。
*下の写真はネットから転載しました。皆さんは撮影練習も兼ねて自身で撮ったものを使用してください。
5 簡単にできる写真加工「パワーポイント」
5-2 パワポの設定から始めます。
スライドサイズ「A3・白紙」に設定し、次にダウンロードした写真を貼り付けるまでの説明です。
◆サイズ指定の方法 パワーポイントを立ち上げると、スライドデザインの選択画面が出ますが、「白紙」のサムネイルを選んで開きます。
白紙状態でもタイトル入力用のテキストボックスが付いていますが必要ありませんので削除し、何もない真っ白な状態にします。
次に下図の①のようにタグから「デザイン」を選び、②の「スライドのサイズ」を開き、③のリストからA3サイズを選びます。
♡アドバイス=プレゼンソフトとしてはデファクトスタンダード(結果的な標準)のパワポですが、描画系でもかなり多機能な優れモノです。
ピクセル(画素:サイズ)はミニマム範囲ですが、ネット掲載やチラシ画像のキリヌキ~合成程度では問題なく実用レベルにあり、素材盛沢山なチラシ編集などもこれ一本でこなしてくれます。演出や効果などのテクニックも難度は高いですが、いつか周りを”凄ッ!”と言わせて見せましょう。
上図は、写真のキリヌキやフレーム加工に関連のタグやアイコンを解説しています。
今から使うタグは「デザイン」「ホーム」「挿入」「図の形式」ですが、その他も一通り開き、機能の全体像を眺めておいてください。
◆写真の貼り付け さっそくダウンロードしたアパート画像を貼り付け、④のようにスライド(A3サイズ)内側ギリギリまで拡大します。
*写真の影は分かりやすいように付けていますが、実際はありません。
5-3 背景キリヌキ(背景の削除)
画像をクリックし、タグ②図のツール選択⇒左端のアイコン⑤背景キリヌキを選択すると、↙左下図のようにキリヌキ削除の部分が■濃ピンクに染まります。
⑥の説明の通り、ここから修整作業を始めてゆきます。
5-4 ◆⊕と⊖で調整を繰り返しながら・・・
左図では自動的に行われた「キリヌキしたいエリア」と「キリヌキが有効なエリア」はそのままにして、間違ってキリヌキ削除された「画像を残したいエリア」を、⑦の枠内の⊕を選択し、マウス・ドラッグで残したい部分を線描きします。
下図の⑧⑨のように、⊕は画像を残し⊖は削除の■緑マーカーですが、これを交互に、始めは大雑把に、徐々に細かい部分へと描き進めます。
5-5 「青空」の合成
下図はキリヌキ終了⇒「✓変更を保持」の状態です。空の余白部分は「透明」です。
キリヌキ画像はそのままで、次にダウンロードした「青空」画像を右図のように貼り付けます。
◆合成の構造 青空を貼り付けるとキリヌキした建物画像の上に重なります。これを右図のやり方で最背面に移動させると、上の中央図のようになります。
背景の拡大縮小や位置を調整し、トリミング後に「コピー」⇒「(右端)貼り付け」して1枚の画像にまとめます。これは2層(レイヤー)の画像を1枚に合成したものですが、さらに樹木など別の画像を入れたいときは、元画像に戻り、2層の間に差し込み(移動)させます。
「合成」はこのように2~3層など画像の層を重ねる構造ですが、最後は1枚にして完成となります。
5-6 フレームのデザイン選択
◆左の図のように、対象の画像をクリックして選択状態にし、次にタグの①図の形式を選ぶと、各種のフレーム・デザインのサムネイルが出てきます。
一般的に使うものは揃っていますが、独自にデザインしたいときはマウスの左ボタン⇒「図の書式設定」パネルから細かく設定できます。
下の「Before and After」のフレームはサムネイルから選んだスタイルに「図の書式設定」⇒「影」のところを調整しました。
◆ 編 集 後 記 ◆
いかがでしたか? 建物の撮り方、明暗や画質の調整、そしてアオリ補正まで一気に進めましたが、演習の数々、デキ具合は? 電線もうまく消せましたか? まさか洗濯物の消し方までできたって!?
中級レベルの合成やフレーム作成まで飛び級しちゃったなら、かなりお疲れモードかも知れませんね。
万事、「難しい・・・」はできてしまうと「簡単!」に変わります。
簡単ではなかったカリキュラムでしたが、今はどうでしょう?
この下の画像ですが、よく尋ねられる『ドロー系ソフト』でつくったカラー・マスクのイメージです。このオートマ時代にコツコツつくらなければなりませんが、再生デザインには必需モノです。
もちろん、ベース版の洗濯物を消し、残置物の撤去や樹木剪定や除草も、となれば今のところ『ビットマップ系ソフト』が必需です。
2つのソフトには有料も無料もありますが、どちらにしろ、慣れてしまえば簡単に使えるのです、ホント。